ビジネスとストーリーテリングは密接に関係しています。
「ストーリーテリング」、簡単に言うと物語を語る技術です。
このスキルが今後ビジネスをやっていく上で、
特に今の時代必要なスキルと言えます。
ストーリーテリングで切り離して考えられないのが、まず『神話の法則』です。
この辺は深く掘り下げていくと膨大なコンテンツになります。
ここでは理解を深めるために、
2013年にヒットしたドラマ『半沢直樹』にあてはめたらどうなるかで解説してみます。
半沢直樹は非常にわかりやすいヒーロー物語でした。
ヒットの要因はそのわかりやすさも大きいのかもしれません。
いずれにせよ『神話の法則』を理解するのには良い題材です。
ヒーローズ・ジャーニーの12ステージ
神話が無限とも思えるほど多岐にわたっているのにもかかわらず、
ヒーローのストーリーはいつもの旅の物語なのです。
ヒーローの旅はいつも以下のようなステージを進んでいく。
○第一幕 ~出立・離別~
1.日常の世界
2.冒険への誘い
3.冒険への拒絶
4.賢者との出会い
5.第一関門突破
○第二幕 ~試練・通過儀礼~
6.試練・仲間・敵対者
7.最も危険な場所への接近
8.最大の試練
9.報酬
○第三幕 ~帰還~
10.帰路
11.復活
12.宝を持っての帰還
半沢直樹、大阪編を当てはめると・・・
1.日常の世界=融資課長としての日常
半沢直樹が大阪西支店の融資課長として働いている日常。
小さな工場であるマキノ精機に融資をすすめる半沢の姿を描写して、
正義感のあるバンカーであることを視聴者に植えつける。
半沢直樹=ヒーロー(英雄)
2.冒険への誘い=強制的に西大阪スチールの融資案件を委任される
半沢は浅野支店長から半ば強制的に西大阪スチールの融資案件を委任される。
『5億円融資事件』のきっかけとなる。
3.冒険への拒絶=半沢は融資を反対する
ヒーローは一度、特別な世界(スペシャル・ワールド)にいくことを拒絶する。
ここでは、5億円を借入期間5年、無担保でしかも明日までに融資を認可させるという
浅野支店長の相当無理な要件に対して半沢は一度拒絶をする。
4.賢者(メンター)との出会い=父親の半沢慎之助の言葉が度々登場。
「ええか直樹。どんな仕事をしようとも大切なのは人と人との繋がりや。ロボットみたいな仕事だけはしたらあかん」
このシーンが度々出てくるので半沢直樹のメンターは父親になるだろう。(ドラマでは笑福亭鶴瓶)
これから冒険する直樹の指標となることが意味づけられている。
5.第一関門突破=「私は必ず5億円を取り戻す!」
ヒーローはスペシャルワールド(特別な世界)に旅立つ準備ができた。
冒険へ専心する意思を表明。
西大阪スチールから5億を騙し取られたが、
半沢は本部の聞き取り調査で「私は必ず5億円を取り戻す」と宣言し、
この5億円融資事件への旅が始める。
6.試練・仲間・敵対者=第2話~第3話
ヒーローは連続した試練を乗り越えていかなければならない。
その過程で仲間や敵対者など強いキャラクターの登場により面白くなっていく。
- [試練1]東田の味方である板橋に騙されそうになる
- [試練2]国税局の黒崎から無理矢理な調査に入られる
- [試練3]江崎副支店長から無理な資料作成の指示
- [試練4]小木曽人事部長のよる悪意のある裁量臨店
これらをヒーローである半沢直樹は仲間と一緒に敵対者と戦う。
- [仲間]同期の近藤や渡真利
- [相棒]竹下金属の竹下社長
- [敵対者]浅野支店長や小木曽次長や板橋
- [ライバル]国税局の黒崎
ヒーローの半沢は特別な世界(スペシャル・ワールド)にきたことによって、
5億を回収できなければ出向(銀行員として終わり)になるというルールを視聴者と共有。
7.最も危険な場所への接近=黒幕の浅野支店長に接近
物語の中間地点。ヒーローは想像もできないような驚きや経験をする。
そしてヒーローは大胆不敵にも危険な場所へ接近する。
半沢の場合、5億円融資事件の黒幕は浅野支店長だったことが明らかに。
半沢は浅野に脅しのメールを送りつけたり、隙を狙って浅野の個人口座を見つけ出す。
8.最大の試練=これまでの努力が水の泡になり、出向が決定
最大の試練でヒーロは死に直面する。または死んだように見える。
半沢直樹の場合、銀行員として「死」を表す「出向」の内示が出る。
そして、5億回収の最後の望みであった東田の愛人の未樹に国税局に寝返られる。
望みが全くなくなる。
9.報酬=正義が勝って5億円回収
ヒーローは最大の局面を乗り越えてた時に報酬を手にする。
半沢の場合は、東田の5億円を預けている海外口座を愛人の未樹が
国税にもっていった描写していたが、本当は未樹は半沢を味方した。
半沢直樹の場合は深い底のから一気に逆転するような勝利の流れ。
10.帰路=悪者である東田は最後の悪あがきをする
帰路はまだ安心できない。報酬を得ても悪者はさらに進化してヒーローに攻撃する場合もある。
半沢直樹の場合、東田の10億円銀行口座や差し押さえをしても
東田社長はクラブで暴力行為に及ぶ。
また、ライバルであった国税局の対しても勝利を示す描写が描かれる。
正義が勝つことを視聴者に示す。
11.復活=浅野支店長に10倍返しして大復活
ヒーローの復活は挑戦でもあり、死と再生の経験をするシーン。
復活は最後の対決を描くシーンでもあり感情的なシーン。
半沢直樹の場合は「10倍返し」の復讐劇。
浅野支店長を追い詰め刑事告訴し、浅野の「死」を表すことで、
これまで自分が死の状態だったのが全く逆転。
しかし、半沢は浅野を糾弾することは取り消し、
浅野を軽い処分にして人間的な要素を魅せる。
12.宝を持っての帰還=営業第二部次長という宝を持って東京へ
作品によっていろいろ異なるが、
半沢直樹の場合「ヒーローの旅は続く」という描写。
愛妻と大阪から営業第二部次長という宝を持って東京へ引っ越しし、
東京中央銀行の本店の前でまたヒーローである半沢の新たな旅が始まることを描いて終了。
まとめ
とまあこんな感じで半沢直樹はヒーローズ・ジャーニーを
しっかりと当てはめることができました。
『神話の法則』は1度読んだだけでは、
ちょっと理解するのが難しいので好きな映画などに
当てはめて書き出してみると理解が深まります。
ちなみに『神話の法則』は既に絶版になっているので、
amazonマーケットプレイスなどの中古で買ってね。
コメントを残す