なぜ、飲食店起業はかなりの確率で失敗するのでしょうか?
僕は飲食店をやったことがありませんが、飲食店の起業をやっている人を見たり聞いたりして、なぜその商売が上手くいかないのかは分析をしたりします。
飲食店は誰もが関わる身近な業界なので、そこから誰もがビジネスを学ぶことができます。成功事例を見るのもいいですが、失敗する理由を知って自分のやっているビジネスに活かすこともできます。
飲食店起業で失敗する人たちからわかる、僕が思う陥りやすいビジネスの5つの罠あげます。
1.世界で一番競争率の激しい「東京」に出店しようとする→業界の常識に囚われてしまう
飲食業界で一番レベルが高いのは世界の中でも日本です。そして、日本の中でも一番競争が激しいのは「東京」です。世界の中で東京が一番飲食業のレベルが高く競争も激しいのです。
海外でご飯を食べたことがある方はわかると思いますが、いかに日本のサービスが徹底していてレベルが高いのかというのがよくわかると思います。
飲食で起業しようと思ったときに、「東京」に出店しようとするのはわざわざ苦しいことをこれからはじめることを宣言しているようなものです。たぶん、これは飲食で起業をしようとしている人の主観やこだわりがそこに入っているんだと思います。
「業界の常識に囚われてしまう」と言ってもいいでしょう。
他の国の都市などでやってみる方がはるかによさそうなのですが、どうしても自分の業界のことしかわからないいので、「東京」に出店しようとしてしまうのです。
2.飲食店はの本質は不動産業であることがわからない→見えている部分しか読み取れない
飲食店を成功させるためには、
- 調理
- 接客
- サービス精神
など、いわゆる飲食業界として必要なものはある程度ありますが、本当に大事なのは立地条件だと思います。
あのマクドナルドの藤田田さんもマクドナルドは不動産業だと言っているように、飲食店は基本的に不動産をどう扱えるかがすべてだと思います。
例えば、初めてやる飲食店で内装から中のテーブルや椅子や調理場などをオリジナルで改装している莫大な初期費用が資金を投じてやるよりも居抜き物件を探した方がはるかにいいでしょう。
初期費用も抑えられますし、上手くいかなくてもリスクが小さくて済みます。つまり、飲食店は不動産業をいかに上手くやるかというところがポイントになってくるわけです。
ビジネスをしていると、こういう本来押さえないといけないポイントが見えずに、見えているところだけで判断をしてしまうという罠に陥りやすくなります。
3.利益率ではなく自分のやりたいことを優先してやってしまう
基本的にビジネスは利益率の高いことをやらないといけません。そう考えると、そもそも飲食店は利益率があまり高いとはいえません。
ただ、飲食の中でもいわゆる「粉モン」と呼ばれる部類は利益率が高いです。
- お好み焼き
- 蕎麦
- カレー
などですね。こういうものならまだ原価率が低いのでやってもいいと思うのですが、「利益率が高いから蕎麦屋をやりたい」という人は実は少ないです。
飲食店をやっている人はやっぱり、「カフェをやるのが夢だったから」と言ってカフェをやってしまうのです。もちろん、極端に原価をかけないカフェをやって成功している人もいます。
例えば、ド田舎に超安い物件を借りて、店名に「ひまわり」とか「わかば」という名前をつけて、過疎化した町のお年寄りたちのしゃべり場みたいにして、ミルクなどの保存に効かないものはいっさい置かない。メニューはコーヒー1つだけ。みたいにして、店員はバイト一人だけ雇って常に一人。
それで、月16万円利益があがるのを40店舗ぐらいかまえてやっている人とかいるんですが、これは「夢のカフェ」を決してやっているのではなく、「利益率」を考えまくってやって成功した例です。
しかし、多くの方は「好き好き」みたいな主観が入った判断でお店をはじめたりして失敗しています。なので、ビジネスをやるときはいかに「主観」をはずしてしっかりと利益率を考えてやるかだということがわかります。
4.味や中身にこだわりすぎる→商品にこだわりすぎて集客や営業をおろそかにしてしまう
飲食店をされている人で多いのが、味にこだわっている人が多いです。それはラーメンにしてもお寿司にしてもパスタにしてもそうです。
以前、僕がWebサイトを担当していたイタリアンのお店の人は、朝4時とかに起きて仕込みをして良い味を出すために毎日頑張っていたのですが、味の良さがわかるお客さんは実際はそこまでいないわけです。
ある程度の美味しさを出していれば、後は集客や営業の方が肝心になってくるわけですが、そこはかなりおろそかになっていて
お客が来ない
↓
「味が悪いんだ」
↓
味にこだわる
↓
お客が来ない
↓
「まだ味が悪いんだ」
↓
味に更にこだわる
↓
お客が来ない
みたいな悪循環に陥ります。
実際、味が悪いからお客さんがお店に来ないのではなく、先ほど上げたようなお店の立地条件や集客に関わる部分の方が本当は大事なわけです。
これは他のビジネスをしている時も、商品の部分にこだわりすぎて、集客が疎かになってしまうことは多々ありますので、こういう飲食店の例を見て明日は我が身で気をつけなければなりません。
5.お客が来るほど苦しくなる→労働集約型を続けてしまう
飲食店は、基本的には労働集約型で、売上の上限というのが決まっています。というのも、基本的には
- 客席の数
- 回転率
- 原価率
などを変えなければ売上は変わりませんが、客席の数を急に増やすことはできませんし、飲食店なので客数は決まっています。
回転率もある程度パターンが固定してしまうとそのパターンで運営を続けるので、大きく回転率を上げるというのは難しいです。
そして、原価率も開業当初からそこまで仕入れ先や販売価格を上下することもできないと思うので、売上の上限もう見えてしまっているわけです。
また、お客さんが来ればくる程、自分は忙しくなり、休むと売上は減る。風邪を引いて倒れると、もうサービスが提供できないというマンパワーにすべて頼った労働集約型の商売の代表例になります。
もちろん、自分がオーナーで、労働者は誰でもできるような仕事で入れ替わり立ち代りしても問題ないようにするなどの工夫をしているのなら成り立つでしょう。
チェーン店のようなお店を出している会社は、アルバイトで誰でもできるような仕事にすることで、誰かが辞められてもすぐに新しい人を採用しているようなビジネスモデルにしています。
逆に、その人にしかできないような料理やサービスを提供することは非常にリスクが高いことに気づきます。このことから、あまりマンパワーに依存する商売にすると苦しいのは自分になるということがわかります。
まとめ
このように自分が飲食店を運営したことがなくても、飲食は身近な業界なので、飲食店起業の失敗している事例からこのようにたくさんのことが学べます。
ぜひ、ご飯を食べにいったときには
- お店のテナント料(賃料)
- 原価率
- 利益率
- 回転率
- 1日の売上(平日と土日は別で考える)
などを自分なりに予測してみましょう。そうすることで、このお店が生き残れるかどうかや、長年続けているのであればその秘訣が自分のビジネスに活かせるなんて場合もあります。
また、店によってはお店の人が「売上」を普通に教えてくれたりする場合もあるので、思い切って質問してみるのもありですね。
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